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03実務対応編 2026年8月11日

28.日本版DBSで扱う個人情報をどう守るか

~確認結果を「知る必要がある人」だけで扱うために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBS対応で整えておきたい社内規程と運用ルール」について考えました。日本版DBSへの対応では、採用。配置。相談・報告。情報管理。研修。を、担当者の記憶だけに頼らず、法人のルールとして整えることが大切です。今回は、その中でも特に重要な、個人情報の管理について考えます。犯罪事実確認の結果は、非常に慎重な取扱いが必要な情報です。確認できる制度があるからといって、管理者なら誰でも見てよい。人事担当者同士で自由に共有してよい。念のためコピーを保存しておけばよい。というものではありません。👉大切なのは、「誰が知る必要があるのか」を最初に絞ることです。 日本版DBSでは情報管理そのものが義務です こども性暴力防止法では、対象事業者に対して、犯罪事実確認だけでなく、確認に関する情報を適正に管理するための措置も求めています。こども家庭庁のQ&Aでは、・管理責任者を置く・情報管理規程を策定する・その規程を守ることなどが必要とされています。つまり、「確認した後、どう管理するか」までが日本版DBS対応です。 まず「誰が見るのか」を決める 確認結果を扱う人は、多ければ安心というものではありません。こども家庭庁は、犯罪事実確認記録等の取扱者を必要最小限にすることを求めています。例えば、法人代表者。人事責任者。日本版DBSの管理責任者。配置判断を行う責任者。など、業務上必要な人に限定します。事業所管理者へどこまで伝えるか事業所の管理者が職員配置を行う場合でも、確認結果そのものを共有しなければならないとは限りません。例えば、「この職員はこの業務に配置しない」という配置上必要な情報だけを伝えれば足りる場合もあります。詳細を知る必要のない人へ、犯罪事実の内容まで共有しないことが重要です。👉「知りたい人」ではなく、「業務上知る必要がある人」で考えます。 記録を増やしすぎない 情報管理というと、念のため印刷して保存する。人事ファイルへコピーする。Excelへ転記する。という対応を考えがちです。しかし、こども家庭庁は、犯罪事実確認書の内容について、記録・保存を極力避けることを基……

旅館・ホテル経営を地域に残る資産へ変えるために|第19話

~許可を取ることから、宿を次の世代へつなぐことまで~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「旅館業の事業承継と出口戦略|旅館業許可は引き継げるのか」について考えました。旅館業許可は、建物や屋号と一緒に自動的に移るものではありません。親族への承継。第三者への事業譲渡。相続。法人の合併や分割。廃業。どの方法を選ぶかによって、必要な手続は異なります。また、次の営業者へ引き継ぐものは、旅館業許可だけではありません。従業員。予約。取引先。運営記録。設備の情報。近隣や地域との関係。これらも、宿を支えてきた大切な財産です。 今回で、「旅館・ホテル開業後の実務と経営」について考えてきた「旅館業 開業後の落とし穴編」シリーズは最終話となります。最終話では、👉旅館・ホテルを一時的な営業施設ではなく、地域に残る資産へ変えるには何が必要かについて、これまでの記事を振り返りながら考えてみます。 旅館業許可の取得はゴールではありません 旅館・ホテルの開業を考えたとき、最初に大きな課題となるのが旅館業許可です。保健所へ相談する。消防署へ相談する。建物や設備を確認する。必要な書類をそろえる。申請を行う。検査を受ける。こうした手続を経て、ようやく営業を始めることができます。そのため、許可証を受け取ると、これで準備が終わった。ようやく安心できる。と感じるかもしれません。しかし、実際には、許可を取得した日から宿の運営が始まります。宿泊者を受け入れる。従業員を雇う。予約を管理する。料金を決める。宿泊者名簿を整える。消防・衛生の状態を維持する。営業内容が変われば必要な届出を行う。旅館業許可は、宿を経営するための入口です。👉許可を取ることではなく、許可を守りながら営業を続けることが本当の課題です。 宿を続けるには利益を残す必要があります 旅館・ホテルは、多くの人や設備によって支えられています。従業員。清掃。リネン。食材。光熱費。建物や設備の修繕。予約システム。OTAへの手数料。広告や情報発信。法令対応。宿泊者に喜んでもらうためのサービスだけでなく、安全な施設を維持するためにも費用が必要です。そのため、宿泊者に喜んでもらえればよい。稼働率が高ければよい。売上が増えればよい。というだけでは、……

宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点|第8話

~旅館業許可と飲食店営業許可を一体で考える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには」について考えました。地域の飲食店や商店を紹介する。地元の商品や食材を活用する。周辺を歩いてもらう仕組みをつくる。地域住民の声を店づくりに生かす。こうした取組によって、古民家カフェは飲食を提供する場所だけでなく、地域の魅力を伝える観光拠点にもなります。 今回は、「宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点」について考えます。いつもの日曜日の朝はリラックスしてお付き合いください。古民家を活用する方法は、宿泊施設か。カフェか。どちらか一つとは限りません。古民家宿で朝食を提供する。宿泊者以外にもカフェを開放する。昼はカフェ、夜は宿として使用する。地域イベントの際に食事を提供する。といった組合せも考えられます。しかし、旅館業許可があれば自由に食事を提供できる。飲食店営業許可があれば宿泊者を受け入れられる。というわけではありません。👉宿泊と飲食を組み合わせる場合は、二つの営業を一つの建物全体で考える必要があります。 旅館業許可と飲食店営業許可は別の手続です 宿泊料を受けて人を宿泊させる営業には、原則として旅館業法に基づく許可が必要です。旅館業の許可では、客室、換気、採光、衛生設備など、宿泊施設としての構造設備が確認されます。一方、食品を調理して客に提供する営業は、食品衛生法上の飲食店営業に該当し、営業内容に応じた許可が必要です。飲食店営業には、一般のレストランやカフェだけでなく、ホテル・旅館の厨房も含まれます。つまり、👉宿泊を行うための許可。👉食事を提供するための許可。は別々に確認しなければなりません。同じ建物で営業する場合でも、どの場所で何を行うのかを明確にする必要があります。 最初に営業の形を具体的にする 「古民家で宿とカフェをやりたい」というだけでは、必要な設備や許可を判断できません。まず、実際の営業方法を書き出します。 ・宿泊者にだけ食事を提供する 例えば、朝食だけを提供する。夕食付きの宿泊プランを販売する。宿泊者へ軽食や飲物を提供する。という形です。宿泊者だけを対象とする場合でも、厨房で……

03実務対応編 2026年8月8日

27.日本版DBS対応で整えておきたい社内規程と運用ルール

~ひな型を置くだけで終わらせないために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「神奈川県の児童福祉事業者が日本版DBSで確認したい法人・事業所の役割分担」について考えました。複数の事業所を運営する法人では、採用や確認手続は法人本部。日々の職員配置は各事業所。相談の受付は現場。法人としての判断は本部。というように、仕事が分かれていることがあります。大切なのは、誰が最初に動くのか。誰へ報告するのか。誰が最終的に判断するのか。を明確にすることです。 今回は、「日本版DBS対応で整えておきたい社内規程と運用ルール」について考えます。日本版DBSへの対応では、犯罪事実確認の手続だけでなく、採用。配置。相談・報告。安全確保。情報管理。研修。を、法人のルールとして整える必要があります。ただし、👉ひな型を保存しただけでは、現場で動ける仕組みにはなりません。 なぜ社内規程が必要なのか 担当者が制度を理解していても、担当者が休んでいる。管理者が異動した。新しい職員が入った。夜間や休日に相談があった。という場合に、同じ対応ができるとは限りません。口頭の説明や担当者の経験だけに頼ると、事業所によって対応が変わることがあります。社内規程や運用ルールには、誰が担当するのか。どのような順番で対応するのか。どこまで記録するのか。誰へ報告するのか。を残します。規程の目的は書類を増やすことではありません。👉担当者が変わっても、子どもの安全を守る対応を続けられるようにすることです。 最初に既存の規程を確認する 日本版DBSのために、すべての規程を新しく作り直す必要があるとは限りません。まず、法人に現在ある書類を確認します。例えば、・就業規則・採用に関する規程・服務規律・個人情報保護規程・安全管理に関する規程・事故、苦情対応の手順・虐待防止に関する指針・相談、通報の手順・職員研修計画などです。そのうえで、日本版DBSへの対応がどこに書かれているか。現在の規程同士に矛盾がないか。規程と現場の運用が一致しているか。を確認します。新しい規程を一冊追加するだけではなく、既存の仕組みとの関係を整理することが大切です。 採用時のルールを整える こども家庭庁は、施行前の準備に活用できる……

旅館業の事業承継と出口戦略|旅館業許可は引き継げるのか|第18話

~売却・相続・事業譲渡の契約前に確認したいこと~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「地域と共に生きる宿だけが長く続く理由」について考えました。宿泊によって生まれる利益を宿の中だけにとどめず、地域の飲食店や商店へ宿泊者をつなぐ。地元の商品やサービスを利用する。地域の魅力とルールを宿泊者へ伝える。地域住民や行政と対話する。という積み重ねが、地域から応援される宿につながります。しかし、宿を長く残すためには、現在の営業だけでなく、その先も考えなければなりません。親族へ引き継ぐ。従業員へ引き継ぐ。第三者へ売却する。法人化する。建物を貸す。廃業する。経営者には、いつか何らかの選択が必要になります。今回は、👉旅館・ホテルを売却・譲渡・相続する場合に、旅館業許可をどのように扱うのかについて考えます。 旅館業許可は建物についてくるものではありません 旅館・ホテルの建物を購入すれば、買主がそのまま営業できると思われることがあります。しかし、旅館業許可は、建物そのものに付いている権利ではありません。許可を受けた営業者が、許可を受けた施設で旅館業を営むためのものです。そのため、建物を売買した。営業設備を引き渡した。宿の名称を引き継いだ。予約サイトの掲載ページを引き継いだ。という事実だけで、買主が旅館業の営業者になるわけではありません。大切なのは、誰が現在の許可を受けているのか。誰が次の営業者になるのか。どの方法で事業を引き継ぐのか。を確認することです。 事業譲渡では事前の承認が必要です 以前は、旅館業を事業譲渡する場合、譲受人が原則として新たに許可を取得する必要がありました。現在は、👉旅館業法上の承継承認を受けることで、譲受人が営業者の地位を承継できる制度が設けられています。ただし、事業を譲渡した後に届け出ればよいわけではありません。譲渡人と譲受人は、事業譲渡の効力が発生する前に、都道府県知事等の承認を受ける必要があります。例えば横浜市も、承認前に譲渡の効力が発生した場合は承継制度を利用できず、新規許可が必要になると案内しています。したがって、事業譲渡契約を結ぶ。代金を支払う。施設を引き渡す。買主が営業を始める。という日程を決める前に、管轄する行政窓口へ相談する必要があ……

26.神奈川県の児童福祉事業者が日本版DBSで確認したい法人・事業所の役割分担

~本部任せ・現場任せにしないために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「横浜市の放課後等デイサービス向け日本版DBS対応」について考えました。放課後等デイサービスでは、学校や自宅への送迎。個別支援。外出活動。着替えや排せつの介助。保護者への引渡し。など、職員と子どもがさまざまな場面で関わります。そのため、職員名簿だけを見るのではなく、誰が子どもと関わっているのか。どの場面で一対一になるのか。相談や報告を誰が受けるのか。を、一日の支援の流れから確認することが大切です。 今回は、「神奈川県の児童福祉事業者が日本版DBSで確認したい法人・事業所の役割分担」について考えます。複数の放課後等デイサービスや児童発達支援事業所を運営する法人では、採用は法人本部。職員配置は各事業所。研修は法人全体。相談受付は各事業所。個人情報は本部で管理。というように、仕事が分かれていることがあります。このとき注意したいのが、👉本部が手続を行うことと、事業所が子どもの安全を守ることを切り離さないことです。 日本版DBS対応の責任主体を最初に確認する 指定障害児通所支援事業は、こども性暴力防止法に基づく措置を実施する義務対象です。複数の事業所を運営している場合でも、誰が法人として手続を進めるのか。どの事業所が対象になるのか。どの従事者を確認するのか。を整理する必要があります。こども家庭庁は、義務対象事業者について、事業者情報をまとめて登録する仕組みや、手続に必要となるGビズIDの準備を案内しています。法人本部には、事業所情報を集約し、手続を進める役割が生じます。ただし、対象となる職員の実際の業務や、日々の支援状況を把握しているのは各事業所です。👉本部だけでも、事業所だけでも対応は完結しません。 採用と対象者の把握は誰が行うのか 法人本部が行うこと 法人本部で一括採用をしている場合は、求人票や募集要項の見直し。応募者への説明。犯罪事実確認の手続。必要書類の管理。採用判断に必要な情報の整理。を、本部が中心となって行うことが考えられます。採用窓口が法人本部にあるにもかかわらず、確認手続だけを各事業所へ任せると、事業所ごとに対応が異なる可能性があります。法人として、基本的な採……

地域と共に生きる宿だけが長く続く理由|第17話

~地域住民・地元事業者・行政と価値を分かち合う~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応」について考えました。旅館・ホテルを営業していれば、宿泊者の話し声。深夜の出入り。路上駐車。喫煙。ごみ出し。送迎車両。などについて、近隣から意見や苦情を受けることがあります。大切なのは、苦情を受けたときに事実を確認する。現在起きている問題を止める。対応内容を記録する。スタッフへ共有する。同じ問題を繰り返さないために運営を見直す。という流れを整えることです。しかし、迷惑をかけない。苦情を起こさない。というだけでは、地域から応援される宿にはなりません。宿泊客が増えることで、地域には、人や車の出入りが増える。生活道路が混雑する。夜間も知らない人が歩く。ごみや騒音への不安が生じる。といった負担がかかることがあります。その一方で、地域の飲食店や商店を利用する。地元の商品や食材を購入する。地域で働く人を雇用する。空き家や使われていない建物を再生する。地域の魅力を宿泊者へ伝える。という価値を生み出すこともできます。 今回は、👉旅館・ホテルが地域へ負担だけを残さず、地域住民・地元事業者・行政と価値を分かち合うには何が必要かについて、旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えます。 地域は宿泊事業の「背景」ではありません 旅館・ホテルの魅力を考えるとき、客室。食事。温泉。館内設備。接客。立地。など、施設の中にあるものへ目が向きやすくなります。しかし、宿泊者が感じる旅の魅力は、宿の中だけで作られるものではありません。地域の風景。駅から宿までの道。近くの飲食店。地域で暮らす人との会話。地元の食材や商品。祭りや季節の行事。こうしたものも、宿泊体験の一部になります。宿は地域と切り離された建物ではありません。地域の魅力があるから宿泊者が訪れ、宿があることで地域を訪れる人が増えます。👉宿と地域は、お互いの価値を高める関係にあります。 宿泊客が増えれば地域も喜ぶとは限りません 宿泊者が増えることは、宿にとっては売上の増加につながります。しかし、地域住民にとっては、必ずしも利益だけではありません。例えば、住宅地に大きな車両が入る。駐車場へ入れな……

25.横浜市の放課後等デイサービス向け日本版DBS対応

~送迎・個別支援・相談体制をどう見直すか~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「横浜市の認定こども園向け日本版DBS対応」について考えました。日本版DBSへの対応は、職員の犯罪事実を確認することだけではありません。職員への研修。子どもや保護者が相談できる体制。不適切な行為を早期に把握する仕組み。確認結果や相談情報の適切な管理。などを、施設全体で整える必要があります。 今回は、「横浜市の放課後等デイサービス向け日本版DBS対応」について考えます。放課後等デイサービスでは、学校からの送迎。事業所内での個別支援。外出活動。トイレや着替えの介助。家庭への送り届け。など、職員と子どもがさまざまな場面で関わります。そのため、👉誰を確認するかだけでなく、職員と子どもがどのような場面で関わっているかを確認することが重要です。 放課後等デイサービスは日本版DBSの義務対象です こども性暴力防止法は、令和8年12月25日に施行されます。指定を受けた放課後等デイサービスを含む指定障害児通所支援事業は、法律に基づく措置を実施しなければならない義務対象です。希望する事業所だけが認定を受ける制度ではありません。横浜市から指定を受けている放課後等デイサービスは、施行までに必要な準備を確認しておく必要があります。 職員名簿ではなく「子どもと関わる業務」を確認する 放課後等デイサービスには、児童指導員。保育士。管理者。児童発達支援管理責任者。送迎担当者。事務職員。本部から応援に来る職員。外部委託先の従業者。など、さまざまな人が関わります。確認するときは、肩書や雇用形態だけで判断するのではなく、実際に子どもと接する業務を行うか。子どもと一対一になる可能性があるか。継続的に事業所へ出入りするか。を見ます。正社員だけでなく、パート・アルバイト。派遣職員。業務委託。ボランティア。役員や本部職員。についても、実際の業務内容を整理します。👉職員名簿だけでなく、子どもと関わる業務を基準に確認することが第一歩です。 放課後等デイサービス特有の場面を洗い出す 特に確認したいのは、・学校や自宅への送迎・車内で職員と子どもが二人になる場面・個別支援室での一対一の支援・トイレや着替えの介……

近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応|第16話

~苦情が入ったときの初動と再発防止を整える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「旅館・ホテルの変更届|客室・定員・設備を変える前に確認したいこと」について考えました。旅館・ホテルの営業内容を変える場合は、変更してから届け出るのではなく、工事を始める前。設備を購入する前。予約サイトで販売する前。営業者を変更する契約を結ぶ前。に、必要な手続を確認することが大切です。今回は、「近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応」について考えます。旅館・ホテルを営業していると、宿泊者の話し声。深夜の出入り。路上駐車。喫煙。ごみ出し。送迎車両。などについて、近隣から意見や苦情が寄せられることがあります。開業前に十分な対策を行っていても、すべてのトラブルを防げるとは限りません。大切なのは、👉苦情が入ったときに、誰が何を確認し、どう対応するかを決めておくことです。 近隣トラブルで苦しむ宿には共通点があります 近隣トラブルが繰り返される宿では、問題そのものよりも、苦情を受けた後の対応に課題があることがあります。例えば、誰が苦情を受けるのか決まっていない。担当者によって説明が違う。宿泊者の行動だから仕方がないと考える。謝罪だけで終わり、記録を残さない。スタッフへ共有されない。予約サイトや館内案内を直さない。同じ問題が繰り返されても原因を確認しない。という状態です。一度の苦情であれば、相手も事情を理解してくれることがあります。しかし、同じ問題が何度も続くと、話を聞いてくれない宿。改善する気がない宿。地域の生活を軽く考えている宿。という印象につながります。👉近隣トラブルを大きくするのは、問題の発生だけでなく、その後の対応です。 最初に行うのは反論ではなく事実確認です 苦情を受けたとき、施設側にも言い分があるかもしれません。宿泊者がしたことなので分からない。うちの駐車場ではない。営業時間内の出来事である。一度だけのことだと思う。しかし、最初から反論すると、近隣の方は、話を聞いてもらえない。責任を避けている。と感じる可能性があります。まず確認したいのは、いつ起きたのか。どこで起きたのか。何が問題だったのか。どのくらい続いたのか。宿泊者や車両を特定できるか。現在も続いているのか。という事実……

古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには|第7話

~地域の人にも観光客にも選ばれる店づくり~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには」について考えました。古民家カフェを安心して営業するためには、駐車や駐輪。話し声や音。排気やにおい。ごみの保管。営業時間。など、周辺で暮らす人への配慮が欠かせません。しかし、苦情を起こさない。迷惑をかけない。というだけでは、地域から応援される店にはなりません。地域の人も利用しやすい店にする。地元の食材や商品を紹介する。地域の行事や観光資源とつながる。来店した人を周辺の店や場所へ案内する。こうした積み重ねによって、古民家カフェは、飲食を提供するだけの店から、地域の魅力を伝える観光拠点へ育っていきます。今回は、地域に嫌われない店ではなく👉地域から応援される古民家カフェをつくるには何が必要かについて考えます。 観光客だけの店にしない 古民家カフェという言葉から、遠方から訪れる観光客。写真を撮ってSNSへ投稿する人。休日にドライブで立ち寄る人。を思い浮かべるかもしれません。もちろん、観光客に来てもらうことは大切です。しかし、観光客だけを対象にした店では、平日や閑散期の利用が安定しにくくなります。また、地域の人から、観光客のためだけの店。混雑や車だけが増える店。自分たちは入りにくい店。と思われてしまうこともあります。地域に長く根づくためには、近所の人が日常的に利用できる。一人でも入りやすい。子どもや高齢者も利用しやすい。地域の人が知人を連れて来られる。という店づくりが必要です。例えば、平日に利用しやすいメニューを用意する。地域の人向けの案内を店頭へ出す。常連客の声をメニューや営業時間へ反映する。地域の集まりに使える時間帯を設ける。といった工夫が考えられます。👉観光客を呼ぶ前に、地域の人が「自分たちの店」と感じられるかを考える。ことが、地域に愛される古民家カフェの出発点です。 地元の食材や商品を「物語」として伝える 地域とのつながりを作る方法として、地元の食材や商品を使うことが挙げられます。地元で採れた野菜。地域の果物。近隣のパンや菓子。地元の工芸品。地域で作られた調味料や加工品。こうしたものをメニューや店内販売へ取り入れることで、古民家カフェが地域……