02旅館業開業、経営支援 2nd page

旅館・ホテルの変更届|客室・定員・設備を変える前に確認したいこと|第15話

~「少し変えるだけ」と自己判断しないために~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「旅館・ホテルの宿泊者名簿と本人確認の実務」について考えました。宿泊者名簿は、必要事項を記載するだけでなく、本人確認。外国人宿泊者への案内。パスポート情報の取扱い。保存と廃棄。照会を受けた場合の対応。までを一つの流れとして整えることが大切です。一方、旅館・ホテルを営業していると、客室を増やしたい。宿泊定員を変更したい。間仕切りや設備を変えたい。食事の提供を始めたい。法人名や代表者が変わった。ということがあります。しかし、一口に変更といっても、変更届で対応できるもの。事前に保健所や消防署へ相談すべきもの。別の許可や承継手続が関係するもの。があります。 今回は、👉旅館・ホテルの営業内容を変える前に、何をどこへ確認すべきかについて考えます。 変更届は「変更した後に出せばよい」とは限りません 横浜市では、旅館業の許可申請をした内容に変更が生じた場合に使用する「旅館業営業事項変更届出書」が用意されています。届出先は、施設所在地を所管する区福祉保健センター生活衛生課です。ただし、変更届の様式がある。ということと、工事や運用変更を先に進めてよい。ということは別です。特に、客室、間取り、設備、定員などを変える場合は、旅館業の基準だけでなく、消防。建築。食品衛生。などの確認が必要になることがあります。👉まず変更内容を相談し、必要な手続を確認してから進める。これが基本です。 まず「何を変えるのか」を整理します 変更を考えたときは、次の三つに分けてみましょう。 1.営業者や申請事項に関する変更 例えば、施設名。営業者の住所。法人名。法人の代表者。管理体制。などです。このような変更は、旅館業の変更届の対象になる可能性があります。ただし、法人の代表者が変わる。法人そのものが別法人になる。個人営業から法人営業へ変える。事業を他者へ譲渡する。というケースは、同じ扱いではありません。誰が営業者になるのかが変わる場合は、単なる名称変更ではなく、承継承認や新たな許可が関係する可能性があります。 2.客室・定員・設備に関する変更 例えば、客室を増減する。物置を客室として使う。客室の間仕……

旅館・ホテルの宿泊者名簿と本人確認の実務|第14話

~外国人宿泊者への対応と個人情報管理で迷わないために~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「旅館業許可取得後も続く消防・保健所対応の実務」について考えました。旅館業許可を取得した後も、消防設備の点検や衛生管理、客室・定員・設備を変更する際の相談や届出は続きます。そして、日々の営業の中で欠かせないものの一つが、宿泊者名簿です。宿泊者名簿は、宿泊者の氏名を書いてもらうだけの書類ではありません。必要な事項を正確に記載する。宿泊者本人であることを確認する。外国人宿泊者について必要な対応を行う。個人情報として適切に保存する。警察などから照会を受けた場合に対応する。という、フロント業務と法令対応の両方に関係します。今回は、👉旅館・ホテルの現場で見落としやすい、宿泊者名簿と本人確認の実務について考えます。 宿泊者名簿はすべての宿泊者について作成します 旅館業を営む営業者は、宿泊者名簿を備えなければなりません。現在、旅館業法上の基本的な記載事項は、・氏名・住所・連絡先です。2023年12月13日の旅館業法改正により、従来の「職業」が削除され、新たに「連絡先」が追加されました。さらに横浜市では、・到着日時・出発日時・年齢・国籍・旅券番号を記載できる様式とすることが定められています。ただし、国籍と旅券番号の記載が必要となるのは、原則として日本国内に住所を有しない外国人宿泊者です。大切なのは、👉予約代表者だけでなく、実際に宿泊する人を把握することです。家族やグループで宿泊する場合も、誰が宿泊しているのかを確認できる状態にしておく必要があります。 予約情報だけで済ませず、チェックイン時に確認する OTAや自社サイトから予約を受けると、氏名。住所。電話番号。メールアドレス。などが、すでに登録されていることがあります。しかし、予約された情報をそのまま宿泊者名簿に転記するだけでは、実際に宿泊する人と一致しているか分かりません。厚生労働省は、宿泊者名簿の正確な記載を確保するため、チェックイン時に本人確認を行う必要があるとしています。確認したいのは、予約者と宿泊者が同じか。同行者を含めた宿泊人数が合っているか。記載された住所や連絡先に不足がないか。という点です。👉予約情報を集めるこ……

旅館業許可取得後も続く消防・保健所対応の実務|第13話

~営業開始後に見落としやすい点検・変更届・記録~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「宿泊料金はどう決める?安売りを防ぐ価格設定」について考えました。旅館やホテルを長く続けていくためには、お客様に選ばれる料金を考えるだけでなく、必要な利益を確保し、安定した運営につなげることが大切です。一方で、適切な料金を設定し、予約を受けられるようになっても、営業を続けるための管理が終わるわけではありません。旅館業許可を取得した後も、消防設備の点検。設備や客室の変更。宿泊定員の変更。衛生管理と記録。必要な届出。への対応は続きます。開業時には許可内容と合っていた施設でも、営業を続ける中で客室の使い方や設備、サービスの内容が少しずつ変わることがあります。その変化を確認しないまま営業を続けると、現在の施設や運営方法が、許可を取得した当時の内容と合わなくなる可能性があります。 今回は、👉旅館業許可を取得した後に確認したい、消防・保健所対応の実務について考えます。 許可を取得したときの状態を維持する 旅館業許可は、申請書、図面、設備、現地調査などをもとに判断されます。そのため、営業開始後に、客室の使い方を変えた。客室数や宿泊定員を変更した。浴室や洗面設備を改修した。フロントや管理体制を変更した。飲食の提供方法を変えた。という場合には、許可取得時の内容と現在の営業に違いが生じます。変更内容によっては、保健所への届出や事前相談が必要です。横浜市で旅館業を営む場合は、施設を所管する区福祉保健センター生活衛生課が主な相談窓口です。構造設備や営業内容を変えるときは、工事や運用変更を始める前に確認することが大切です。👉変更してから届け出るのではなく、変更を計画した段階で相談する。これが、手戻りを防ぐ基本です。 消防設備は設置後も点検が続きます 消火器。自動火災報知設備。誘導灯。避難器具。非常警報設備。こうした消防用設備は、設置して終わりではありません。横浜市では、建物の所有者、管理者、占有者に対し、建物の規模にかかわらず、 消防用設備等を定期的に点検し、 その結果を報告する義務があると案内しています。 機器点検は原則として6か月ごとに行います。建物の用途や規模によっては、消防設備士や消防……

古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには|第6話

~許可だけでなく、周辺の暮らしへの配慮も開業準備の一つ~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、古民家カフェの開業にあたり、保健所や消防署へ相談したいことを整理しました。飲食店営業許可。厨房設備。消防設備。建物の用途や改修。こうした法令上の確認は、開業に欠かせません。しかし、許可を取得すれば、すべての準備が終わるわけではありません。古民家カフェを始めると、これまで住宅だった場所に、人。車。話し声。排気。ごみ。看板や照明。が加わります。開業する側には小さな変化でも、近隣に住む方には、毎日の生活に関わる問題になることがあります。今回は、👉古民家カフェを長く安心して続けるために、開業前に確認したい近隣対策について考えます。 許可と近隣対策は別の問題です 飲食店営業許可や消防上の確認は、法令上の基準を満たしているかを見るものです。一方、路上駐車。話し声。厨房のにおい。夜間の照明。ごみの保管。などは、周辺の暮らしとの関係から生じます。許可を取得していても、近隣への影響が大きければ、苦情やトラブルにつながります。👉法令上営業できることと、地域で安心して営業を続けられることは別です。この二つを、開業前から一緒に考える必要があります。 1. 車と人の流れ 古民家は、道幅の狭い住宅地。昔からの集落。駅から離れた地域。に建っていることがあります。そのため、お客様は何で来るのか。駐車場は何台必要か。満車時はどこへ案内するか。自転車をどこへ置くか。店の前に人が並ばないか。を確認します。特に避けたいのは、近隣住宅前への路上駐車。私有地への無断駐車。狭い道路での送迎や転回。店の前での長時間の待機。です。駐車場が少ない場合には、予約制。来店時間の分散。公共交通機関の案内。近隣駐車場の紹介。なども検討します。 2.営業時間と作業時間 近隣へ影響するのは、営業時間だけではありません。早朝の仕込み。食材の搬入。閉店後の清掃。椅子や食器の片付け。スタッフの出入り。も、音の原因になります。そこで、仕込みは何時からか。搬入は何時ごろか。片付けは何時までか。屋外で行う作業はあるか。を確認します。👉開店時間と閉店時間だけでなく、店の一日の動きを考えることが大切です。 3.……

宿泊料金はどう決める?安売りを防ぐ価格設定|第12話

~周辺相場だけに合わせず、宿に必要な利益を残すために~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「口コミは良いのに再訪されない宿の見落とし」について考えました。口コミ評価が高く、再訪してくれるお客様が増えても、宿泊料金そのものが適切でなければ、十分な利益は残りません。予約は入っている。客室も埋まっている。それでも、👉「忙しいのに利益が残らない」という宿があります。 今回は、👉宿泊料金は何を基準に決めればよいのかについて、旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えます。 周辺の宿より安ければよいのでしょうか 宿泊料金を決めるとき、周辺施設の料金を調べることは大切です。同じ地域。同じくらいの客室数。食事や設備の違い。口コミ評価。こうした比較は、料金を考える参考になります。しかし、「周辺の宿が1万円だから、うちも1万円」と決めるだけでは十分ではありません。宿ごとに、・家賃や借入金・人件費・光熱費・清掃費・食材費・設備の維持費・OTAなどの販売費用が異なるからです。周辺相場に合わせた結果、予約は入っても利益が残らないことがあります。👉相場は参考にしても、料金の根拠にはしすぎないことが大切です。 一室を販売するための費用を確認する 料金を決める前に、一室を販売すると、いくら費用がかかるのかを確認します。例えば、・客室清掃・シーツやタオルの洗濯・アメニティー・水道光熱費・食事の材料・人件費・決済や販売の手数料などです。さらに、家賃。固定資産税。保険料。システム利用料。設備の修繕や保守費。借入金の返済。といった費用は、客室が空いていても発生します。そのため、「一室を準備する費用」だけでなく、「宿を維持するための費用」も料金に反映する必要があります。 満室でも利益が残らないことがあります 安い料金を設定すれば、予約は入りやすくなるかもしれません。しかし、宿泊者が増えれば、清掃。食事。アメニティー。スタッフの勤務時間。設備の使用。も増えます。その結果、売上は増えても、利益がほとんど増えていないことがあります。注意したいのは、👉満室にすること自体が目的になることです。何室売れたかだけでなく、一室販売した結果、👉……

口コミは良いのに再訪されない宿の見落とし|第11話

~「また利用したい」を次の予約につなげるために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「OTA依存は危険?旅館・ホテルの利益率低下を防ぐ方法」について考えました。OTAは、宿と新しいお客様をつなぐ大切な販売経路です。しかし、OTAを通じて多くのお客様に泊まってもらっても、毎回新しいお客様を集め続けなければならない状態だけでは、安定した経営にはつながりません。口コミには、「接客が丁寧だった」「食事がおいしかった」「また利用したい」と書かれている。評価も悪くない。それでも、実際には再訪はされていない。今回は、👉口コミ評価は良いのに、なぜ次の予約につながらないのかについて考えます。 「満足した」と「もう一度選ぶ」は同じではありません お客様が満足して帰ったからといって、必ず再訪してくれるとは限りません。旅行からしばらくたてば、宿の名前や予約方法を忘れてしまうことがあります。ほかにも魅力的な宿は、次々と目に入ってきます。つまり、「良い宿だった」という記憶だけでは、次の予約につながらないことがあります。もう一度選んでもらうには、・宿のことを思い出すきっかけ・再び訪れる理由・迷わず予約できる方法が必要です。 口コミは「結果」であって、再訪の仕組みではありません 良い口コミが増えることは、新しいお客様に宿を知ってもらううえで大切です。しかし、口コミを書いてもらっただけで、そのお客様との関係が続くわけではありません。口コミへの返信も、「ご宿泊ありがとうございました」「またのお越しをお待ちしております」だけで終わっていないでしょうか。例えば、「秋には周辺の紅葉が見頃になります」「次回は連泊で、別の地域も巡っていただけます」「春には今回とは違う食材を使った料理をご用意します」と伝えれば、お客様に次の季節を想像してもらえます。大切なのは、単に「また来てください」と伝えることではありません。👉次に訪れる理由を具体的に示すことです。 同じ宿へ再訪する理由を用意する 一度泊まった宿へ、もう一度泊まる理由は何でしょうか。宿が気に入った。スタッフに会いたい。季節の料理をもう一度味わいたい。前回行けなかった場所を訪れたい。家族や友人にも体験してもらいたい。理由は人によって……

OTA依存は危険?旅館・ホテルの利益率低下を防ぐ方法|第10話

~予約件数ではなく、宿に残る利益で販売経路を考える~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 ここ数回は、外国人スタッフの雇用や在留資格、定着、更新、永住についてお話ししてきました。宿を長く続けるためには、人材だけでなく、収益構造を整えることも大切です。予約は入っている。客室も埋まっている。現場も忙しい。それでも、「思ったほど利益が残らない」ということがあります。その原因の一つが、OTAへの依存です。今回は、OTAを使うか使わないかではなく、👉OTAと自社予約をどう使い分け、宿に利益を残すかについて考えます。 OTAは必要な販売経路です OTAとは、宿泊施設を検索・比較し、そのまま予約できるオンライン予約サイトです。OTAには、・多くの旅行者へ宿を知ってもらえる・開業直後でも予約を獲得しやすい・海外や遠方の旅行者へ販売できる・空室を販売しやすいという大きな利点があります。 なお、宿泊施設の販売方法を考えるうえでは、OTAだけでなく、旅行会社との契約や旅行業登録の仕組みを理解しておくことも大切です。旅行業登録の種類や区分については、以前の記事でも整理しています。▶ 旅行業登録の種類と区分の選び方 特に、新しく開業した宿。知名度の低い宿。外国人旅行者を受け入れたい宿。こうした施設にとって、OTAは重要な集客手段です。問題はOTAを使うことではありません。👉予約の大部分をOTAに頼り、自社で販売方法を選べなくなることです。 予約が増えても、利益が増えるとは限りませんOTA経由の予約には、手数料や販売費用がかかります。さらに、・割引プラン・会員向け価格・ポイント負担・キャンペーン参加・広告掲載などによって、宿に残る金額が少なくなることがあります。同じ1泊2万円の予約でも、自社サイト。電話。国内OTA。海外OTA。旅行会社。どこから予約が入ったかによって、最終的に宿へ残る金額は異なります。そのため、予約件数や売上だけでなく、👉販売経路ごとの手取り額を確認することが大切です。 OTA依存は予約比率だけでは判断できません OTA予約が多くても、閑散期の空室を効率よく販売できている。海外から新しいお客様を呼び込めている。OTAで知ったお客……

横浜の古民家カフェ開業で見落としやすい保健所と消防の確認|第5話

~改修してから気付く前に、図面を持って事前相談する~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、横浜の古民家カフェ開業で最初に確認したいこと|第4話古民家カフェを開業するときに必要となる、飲食店営業許可についてお話ししました。古民家の落ち着いた雰囲気。昔ながらの梁や柱。庭を眺めながら過ごせる客席。地域の食材を使った料理やお菓子。こうした魅力を生かして、古い住宅をカフェとして活用したいと考える方も増えています。しかし、古民家カフェの開業は、「古い住宅に厨房設備を入れれば営業できる」というものではありません。飲食店として営業するためには、保健所の施設基準を満たす必要があります。また、住宅として使われてきた建物へ不特定多数のお客様を迎え、厨房で火や電気を使うことになれば、消防上の確認も必要になります。 今回のテーマは、「古民家カフェ開業で見落としやすい保健所と消防の確認」です。改修工事を始めてから大きな変更が必要にならないよう、開業前に確認しておきたい実務を整理していきます。 飲食店営業許可だけを申請すればよいわけではありません 古民家カフェを開業する場合、まず思い浮かぶのが飲食店営業許可です。もちろん、飲食物を調理してお客様へ提供するのであれば、原則として飲食店営業許可の検討が必要です。しかし、申請書を提出すれば、そのまま許可されるわけではありません。営業施設が、食品衛生法や条例に基づく施設基準へ適合している必要があります。横浜市では、営業許可までの流れを、1.事前相談2.営業許可申請3.施設検査4.営業許可証の交付・営業開始と案内しています。特に重要なのが、最初の事前相談です。横浜市は、施設工事の着工前に店舗の平面図を用意し、営業施設を管轄する区の福祉保健センター生活衛生課へ相談するよう案内しています。取扱食品や調理量などによっても、必要な営業許可や設備の判断が変わります。👉工事が終わってから保健所に相談するのでは遅いことがあります。まず図面の段階で相談する。これが、古民家カフェ開業の重要な第一歩です。 住宅用の台所をそのまま使えるとは限りません 古民家には、昔ながらの台所が残っていることがあります。立派な流し台がある。水道も通っている。家庭で長年料理をしてきた。その……

外国人スタッフが永住を考え始めたとき宿が知っておきたいこと|第9話

~長く働く人材を地域の力にするために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「外国人スタッフの在留資格更新で宿が気を付けたいこと」についてお話ししました。外国人スタッフが長く働くためには、在留期限を確認し、更新時期を把握し、雇用契約や勤務実態を整理しておくことが大切です。在留資格の更新は、外国人本人だけの問題ではありません。宿側にとっても、大切な人材に安心して働き続けてもらうための重要な実務です。 今回のテーマは、「外国人スタッフが永住を考え始めたとき宿が知っておきたいこと」です。外国人スタッフが長く働いてくれるようになると、本人の将来のことも少しずつ見えてきます。日本で長く暮らしたい。家族を呼びたい。転職せずに同じ地域で働き続けたい。将来的には永住を考えたい。そのような思いを持つ外国人スタッフもいます。永住は本人の問題ではあります。しかし、安定した雇用、収入、納税、社会保険、勤務実態、生活の安定など、日々の働き方とも関係してきます。 今回は、外国人スタッフが永住を考え始めたとき、宿側が知っておきたい視点について旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えていきます。 永住は突然出てくる話ではない 外国人スタッフから、「将来、永住を考えています」と相談されると、宿側は少し驚くかもしれません。しかし、本人にとっては突然の話ではないことが多いです。日本で働き始めた。職場に慣れてきた。地域にも少しずつ馴染んできた。仕事を続けたいと思うようになった。家族との将来を考えるようになった。このような積み重ねの先に、永住という希望が出てくることがあります。つまり、👉永住は単なる入管手続きではありません。その人が日本でどのように働き、どのように暮らし、どの地域に根付いていくのかという話でもあります。 旅館・ホテルにとっても、外国人スタッフが長く働きたいと思ってくれることは、大きな意味があります。業務に慣れている。お客様対応ができる。地域のことを理解している。後輩スタッフを教えられる。海外のお客様との橋渡しができる。このような人材は、宿にとって大切な財産です。 宿側が永住を保証することは決してできない ここで大切なのは、宿側が永住許可を保証できるわけではないという……

外国人スタッフの在留資格更新で宿が気を付けたいこと|第8話

~更新時期・勤務実態・雇用管理をあいまいにしない~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「旅館・ホテルで外国人スタッフが定着しない理由」についてお話ししました。外国人スタッフが長く働くためには、仕事だけでなく、生活面の安心、職場での相談体制、日本人スタッフとの関係づくり、そして在留資格への不安を減らすことが大切です。外国人スタッフにとって、在留資格は日本で働き続けるための土台です。宿側から見ると、まじめに働いてくれているスタッフであっても、在留期限や更新時期の管理が曖昧になっていると、思わぬところで困ることがあります。 今回のテーマは、「外国人スタッフの在留資格更新で宿が気を付けたいこと」です。外国人スタッフが長く働くためには、在留資格の更新時期をきちんと確認しておくことが大切です。在留期限はいつまでなのか。更新準備はいつから始めるのか。雇用契約や勤務実態は整理できているのか。採用時と実際の業務内容にズレはないのか。また、転職者を採用した場合、何を確認すべきなのか。今回は、外国人スタッフの在留資格更新で宿側が気を付けたい実務について旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えていきます。 在留資格更新は本人だけの問題ではない 在留資格の更新は、基本的には外国人本人に関わる手続きです。しかし、宿側がまったく関係ないわけではありません。なぜなら、就労系の在留資格では、どこで働いているのか、どのような業務をしているのか、雇用契約はどうなっているのか、勤務実態はどうか、という点が関係してくるからです。宿側が、「更新は本人がやるものだから分からない」「在留カードは採用時に見たから大丈夫」「期限は本人が管理しているはず」と考えていると、更新時期になって慌てることがあります。外国人スタッフ本人も、制度を十分に理解しているとは限りません。日本語での案内が難しい。書類の準備に不安がある。何を会社に頼めばよいか分からない。更新時期が近づいて初めて焦る。こうしたことは珍しくありません。 在留資格更新は、本人だけに任せきりにするのではなく、宿側も必要な範囲で確認することが大切です。 まず在留期限を一覧で管理する 最初に行うべきことは、在留期限の管理です。外国人スタッフを雇用している場合、少……