02旅館業開業、経営支援 2nd page

宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点|第8話

~旅館業許可と飲食店営業許可を一体で考える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには」について考えました。地域の飲食店や商店を紹介する。地元の商品や食材を活用する。周辺を歩いてもらう仕組みをつくる。地域住民の声を店づくりに生かす。こうした取組によって、古民家カフェは飲食を提供する場所だけでなく、地域の魅力を伝える観光拠点にもなります。 今回は、「宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点」について考えます。いつもの日曜日の朝はリラックスしてお付き合いください。古民家を活用する方法は、宿泊施設か。カフェか。どちらか一つとは限りません。古民家宿で朝食を提供する。宿泊者以外にもカフェを開放する。昼はカフェ、夜は宿として使用する。地域イベントの際に食事を提供する。といった組合せも考えられます。しかし、旅館業許可があれば自由に食事を提供できる。飲食店営業許可があれば宿泊者を受け入れられる。というわけではありません。👉宿泊と飲食を組み合わせる場合は、二つの営業を一つの建物全体で考える必要があります。 旅館業許可と飲食店営業許可は別の手続です 宿泊料を受けて人を宿泊させる営業には、原則として旅館業法に基づく許可が必要です。旅館業の許可では、客室、換気、採光、衛生設備など、宿泊施設としての構造設備が確認されます。一方、食品を調理して客に提供する営業は、食品衛生法上の飲食店営業に該当し、営業内容に応じた許可が必要です。飲食店営業には、一般のレストランやカフェだけでなく、ホテル・旅館の厨房も含まれます。つまり、👉宿泊を行うための許可。👉食事を提供するための許可。は別々に確認しなければなりません。同じ建物で営業する場合でも、どの場所で何を行うのかを明確にする必要があります。 最初に営業の形を具体的にする 「古民家で宿とカフェをやりたい」というだけでは、必要な設備や許可を判断できません。まず、実際の営業方法を書き出します。 ・宿泊者にだけ食事を提供する 例えば、朝食だけを提供する。夕食付きの宿泊プランを販売する。宿泊者へ軽食や飲物を提供する。という形です。宿泊者だけを対象とする場合でも、厨房で……

旅館業の事業承継と出口戦略|旅館業許可は引き継げるのか|第18話

~売却・相続・事業譲渡の契約前に確認したいこと~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「地域と共に生きる宿だけが長く続く理由」について考えました。宿泊によって生まれる利益を宿の中だけにとどめず、地域の飲食店や商店へ宿泊者をつなぐ。地元の商品やサービスを利用する。地域の魅力とルールを宿泊者へ伝える。地域住民や行政と対話する。という積み重ねが、地域から応援される宿につながります。しかし、宿を長く残すためには、現在の営業だけでなく、その先も考えなければなりません。親族へ引き継ぐ。従業員へ引き継ぐ。第三者へ売却する。法人化する。建物を貸す。廃業する。経営者には、いつか何らかの選択が必要になります。今回は、👉旅館・ホテルを売却・譲渡・相続する場合に、旅館業許可をどのように扱うのかについて考えます。 旅館業許可は建物についてくるものではありません 旅館・ホテルの建物を購入すれば、買主がそのまま営業できると思われることがあります。しかし、旅館業許可は、建物そのものに付いている権利ではありません。許可を受けた営業者が、許可を受けた施設で旅館業を営むためのものです。そのため、建物を売買した。営業設備を引き渡した。宿の名称を引き継いだ。予約サイトの掲載ページを引き継いだ。という事実だけで、買主が旅館業の営業者になるわけではありません。大切なのは、誰が現在の許可を受けているのか。誰が次の営業者になるのか。どの方法で事業を引き継ぐのか。を確認することです。 事業譲渡では事前の承認が必要です 以前は、旅館業を事業譲渡する場合、譲受人が原則として新たに許可を取得する必要がありました。現在は、👉旅館業法上の承継承認を受けることで、譲受人が営業者の地位を承継できる制度が設けられています。ただし、事業を譲渡した後に届け出ればよいわけではありません。譲渡人と譲受人は、事業譲渡の効力が発生する前に、都道府県知事等の承認を受ける必要があります。例えば横浜市も、承認前に譲渡の効力が発生した場合は承継制度を利用できず、新規許可が必要になると案内しています。したがって、事業譲渡契約を結ぶ。代金を支払う。施設を引き渡す。買主が営業を始める。という日程を決める前に、管轄する行政窓口へ相談する必要があ……

地域と共に生きる宿だけが長く続く理由|第17話

~地域住民・地元事業者・行政と価値を分かち合う~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応」について考えました。旅館・ホテルを営業していれば、宿泊者の話し声。深夜の出入り。路上駐車。喫煙。ごみ出し。送迎車両。などについて、近隣から意見や苦情を受けることがあります。大切なのは、苦情を受けたときに事実を確認する。現在起きている問題を止める。対応内容を記録する。スタッフへ共有する。同じ問題を繰り返さないために運営を見直す。という流れを整えることです。しかし、迷惑をかけない。苦情を起こさない。というだけでは、地域から応援される宿にはなりません。宿泊客が増えることで、地域には、人や車の出入りが増える。生活道路が混雑する。夜間も知らない人が歩く。ごみや騒音への不安が生じる。といった負担がかかることがあります。その一方で、地域の飲食店や商店を利用する。地元の商品や食材を購入する。地域で働く人を雇用する。空き家や使われていない建物を再生する。地域の魅力を宿泊者へ伝える。という価値を生み出すこともできます。 今回は、👉旅館・ホテルが地域へ負担だけを残さず、地域住民・地元事業者・行政と価値を分かち合うには何が必要かについて、旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えます。 地域は宿泊事業の「背景」ではありません 旅館・ホテルの魅力を考えるとき、客室。食事。温泉。館内設備。接客。立地。など、施設の中にあるものへ目が向きやすくなります。しかし、宿泊者が感じる旅の魅力は、宿の中だけで作られるものではありません。地域の風景。駅から宿までの道。近くの飲食店。地域で暮らす人との会話。地元の食材や商品。祭りや季節の行事。こうしたものも、宿泊体験の一部になります。宿は地域と切り離された建物ではありません。地域の魅力があるから宿泊者が訪れ、宿があることで地域を訪れる人が増えます。👉宿と地域は、お互いの価値を高める関係にあります。 宿泊客が増えれば地域も喜ぶとは限りません 宿泊者が増えることは、宿にとっては売上の増加につながります。しかし、地域住民にとっては、必ずしも利益だけではありません。例えば、住宅地に大きな車両が入る。駐車場へ入れな……

近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応|第16話

~苦情が入ったときの初動と再発防止を整える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「旅館・ホテルの変更届|客室・定員・設備を変える前に確認したいこと」について考えました。旅館・ホテルの営業内容を変える場合は、変更してから届け出るのではなく、工事を始める前。設備を購入する前。予約サイトで販売する前。営業者を変更する契約を結ぶ前。に、必要な手続を確認することが大切です。今回は、「近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応」について考えます。旅館・ホテルを営業していると、宿泊者の話し声。深夜の出入り。路上駐車。喫煙。ごみ出し。送迎車両。などについて、近隣から意見や苦情が寄せられることがあります。開業前に十分な対策を行っていても、すべてのトラブルを防げるとは限りません。大切なのは、👉苦情が入ったときに、誰が何を確認し、どう対応するかを決めておくことです。 近隣トラブルで苦しむ宿には共通点があります 近隣トラブルが繰り返される宿では、問題そのものよりも、苦情を受けた後の対応に課題があることがあります。例えば、誰が苦情を受けるのか決まっていない。担当者によって説明が違う。宿泊者の行動だから仕方がないと考える。謝罪だけで終わり、記録を残さない。スタッフへ共有されない。予約サイトや館内案内を直さない。同じ問題が繰り返されても原因を確認しない。という状態です。一度の苦情であれば、相手も事情を理解してくれることがあります。しかし、同じ問題が何度も続くと、話を聞いてくれない宿。改善する気がない宿。地域の生活を軽く考えている宿。という印象につながります。👉近隣トラブルを大きくするのは、問題の発生だけでなく、その後の対応です。 最初に行うのは反論ではなく事実確認です 苦情を受けたとき、施設側にも言い分があるかもしれません。宿泊者がしたことなので分からない。うちの駐車場ではない。営業時間内の出来事である。一度だけのことだと思う。しかし、最初から反論すると、近隣の方は、話を聞いてもらえない。責任を避けている。と感じる可能性があります。まず確認したいのは、いつ起きたのか。どこで起きたのか。何が問題だったのか。どのくらい続いたのか。宿泊者や車両を特定できるか。現在も続いているのか。という事実……

古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには|第7話

~地域の人にも観光客にも選ばれる店づくり~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには」について考えました。古民家カフェを安心して営業するためには、駐車や駐輪。話し声や音。排気やにおい。ごみの保管。営業時間。など、周辺で暮らす人への配慮が欠かせません。しかし、苦情を起こさない。迷惑をかけない。というだけでは、地域から応援される店にはなりません。地域の人も利用しやすい店にする。地元の食材や商品を紹介する。地域の行事や観光資源とつながる。来店した人を周辺の店や場所へ案内する。こうした積み重ねによって、古民家カフェは、飲食を提供するだけの店から、地域の魅力を伝える観光拠点へ育っていきます。今回は、地域に嫌われない店ではなく👉地域から応援される古民家カフェをつくるには何が必要かについて考えます。 観光客だけの店にしない 古民家カフェという言葉から、遠方から訪れる観光客。写真を撮ってSNSへ投稿する人。休日にドライブで立ち寄る人。を思い浮かべるかもしれません。もちろん、観光客に来てもらうことは大切です。しかし、観光客だけを対象にした店では、平日や閑散期の利用が安定しにくくなります。また、地域の人から、観光客のためだけの店。混雑や車だけが増える店。自分たちは入りにくい店。と思われてしまうこともあります。地域に長く根づくためには、近所の人が日常的に利用できる。一人でも入りやすい。子どもや高齢者も利用しやすい。地域の人が知人を連れて来られる。という店づくりが必要です。例えば、平日に利用しやすいメニューを用意する。地域の人向けの案内を店頭へ出す。常連客の声をメニューや営業時間へ反映する。地域の集まりに使える時間帯を設ける。といった工夫が考えられます。👉観光客を呼ぶ前に、地域の人が「自分たちの店」と感じられるかを考える。ことが、地域に愛される古民家カフェの出発点です。 地元の食材や商品を「物語」として伝える 地域とのつながりを作る方法として、地元の食材や商品を使うことが挙げられます。地元で採れた野菜。地域の果物。近隣のパンや菓子。地元の工芸品。地域で作られた調味料や加工品。こうしたものをメニューや店内販売へ取り入れることで、古民家カフェが地域……

旅館・ホテルの変更届|客室・定員・設備を変える前に確認したいこと|第15話

~「少し変えるだけ」と自己判断しないために~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「旅館・ホテルの宿泊者名簿と本人確認の実務」について考えました。宿泊者名簿は、必要事項を記載するだけでなく、本人確認。外国人宿泊者への案内。パスポート情報の取扱い。保存と廃棄。照会を受けた場合の対応。までを一つの流れとして整えることが大切です。一方、旅館・ホテルを営業していると、客室を増やしたい。宿泊定員を変更したい。間仕切りや設備を変えたい。食事の提供を始めたい。法人名や代表者が変わった。ということがあります。しかし、一口に変更といっても、変更届で対応できるもの。事前に保健所や消防署へ相談すべきもの。別の許可や承継手続が関係するもの。があります。 今回は、👉旅館・ホテルの営業内容を変える前に、何をどこへ確認すべきかについて考えます。 変更届は「変更した後に出せばよい」とは限りません 横浜市では、旅館業の許可申請をした内容に変更が生じた場合に使用する「旅館業営業事項変更届出書」が用意されています。届出先は、施設所在地を所管する区福祉保健センター生活衛生課です。ただし、変更届の様式がある。ということと、工事や運用変更を先に進めてよい。ということは別です。特に、客室、間取り、設備、定員などを変える場合は、旅館業の基準だけでなく、消防。建築。食品衛生。などの確認が必要になることがあります。👉まず変更内容を相談し、必要な手続を確認してから進める。これが基本です。 まず「何を変えるのか」を整理します 変更を考えたときは、次の三つに分けてみましょう。 1.営業者や申請事項に関する変更 例えば、施設名。営業者の住所。法人名。法人の代表者。管理体制。などです。このような変更は、旅館業の変更届の対象になる可能性があります。ただし、法人の代表者が変わる。法人そのものが別法人になる。個人営業から法人営業へ変える。事業を他者へ譲渡する。というケースは、同じ扱いではありません。誰が営業者になるのかが変わる場合は、単なる名称変更ではなく、承継承認や新たな許可が関係する可能性があります。 2.客室・定員・設備に関する変更 例えば、客室を増減する。物置を客室として使う。客室の間仕……

旅館・ホテルの宿泊者名簿と本人確認の実務|第14話

~外国人宿泊者への対応と個人情報管理で迷わないために~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「旅館業許可取得後も続く消防・保健所対応の実務」について考えました。旅館業許可を取得した後も、消防設備の点検や衛生管理、客室・定員・設備を変更する際の相談や届出は続きます。そして、日々の営業の中で欠かせないものの一つが、宿泊者名簿です。宿泊者名簿は、宿泊者の氏名を書いてもらうだけの書類ではありません。必要な事項を正確に記載する。宿泊者本人であることを確認する。外国人宿泊者について必要な対応を行う。個人情報として適切に保存する。警察などから照会を受けた場合に対応する。という、フロント業務と法令対応の両方に関係します。今回は、👉旅館・ホテルの現場で見落としやすい、宿泊者名簿と本人確認の実務について考えます。 宿泊者名簿はすべての宿泊者について作成します 旅館業を営む営業者は、宿泊者名簿を備えなければなりません。現在、旅館業法上の基本的な記載事項は、・氏名・住所・連絡先です。2023年12月13日の旅館業法改正により、従来の「職業」が削除され、新たに「連絡先」が追加されました。さらに横浜市では、・到着日時・出発日時・年齢・国籍・旅券番号を記載できる様式とすることが定められています。ただし、国籍と旅券番号の記載が必要となるのは、原則として日本国内に住所を有しない外国人宿泊者です。大切なのは、👉予約代表者だけでなく、実際に宿泊する人を把握することです。家族やグループで宿泊する場合も、誰が宿泊しているのかを確認できる状態にしておく必要があります。 予約情報だけで済ませず、チェックイン時に確認する OTAや自社サイトから予約を受けると、氏名。住所。電話番号。メールアドレス。などが、すでに登録されていることがあります。しかし、予約された情報をそのまま宿泊者名簿に転記するだけでは、実際に宿泊する人と一致しているか分かりません。厚生労働省は、宿泊者名簿の正確な記載を確保するため、チェックイン時に本人確認を行う必要があるとしています。確認したいのは、予約者と宿泊者が同じか。同行者を含めた宿泊人数が合っているか。記載された住所や連絡先に不足がないか。という点です。👉予約情報を集めるこ……

旅館業許可取得後も続く消防・保健所対応の実務|第13話

~営業開始後に見落としやすい点検・変更届・記録~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「宿泊料金はどう決める?安売りを防ぐ価格設定」について考えました。旅館やホテルを長く続けていくためには、お客様に選ばれる料金を考えるだけでなく、必要な利益を確保し、安定した運営につなげることが大切です。一方で、適切な料金を設定し、予約を受けられるようになっても、営業を続けるための管理が終わるわけではありません。旅館業許可を取得した後も、消防設備の点検。設備や客室の変更。宿泊定員の変更。衛生管理と記録。必要な届出。への対応は続きます。開業時には許可内容と合っていた施設でも、営業を続ける中で客室の使い方や設備、サービスの内容が少しずつ変わることがあります。その変化を確認しないまま営業を続けると、現在の施設や運営方法が、許可を取得した当時の内容と合わなくなる可能性があります。 今回は、👉旅館業許可を取得した後に確認したい、消防・保健所対応の実務について考えます。 許可を取得したときの状態を維持する 旅館業許可は、申請書、図面、設備、現地調査などをもとに判断されます。そのため、営業開始後に、客室の使い方を変えた。客室数や宿泊定員を変更した。浴室や洗面設備を改修した。フロントや管理体制を変更した。飲食の提供方法を変えた。という場合には、許可取得時の内容と現在の営業に違いが生じます。変更内容によっては、保健所への届出や事前相談が必要です。横浜市で旅館業を営む場合は、施設を所管する区福祉保健センター生活衛生課が主な相談窓口です。構造設備や営業内容を変えるときは、工事や運用変更を始める前に確認することが大切です。👉変更してから届け出るのではなく、変更を計画した段階で相談する。これが、手戻りを防ぐ基本です。 消防設備は設置後も点検が続きます 消火器。自動火災報知設備。誘導灯。避難器具。非常警報設備。こうした消防用設備は、設置して終わりではありません。横浜市では、建物の所有者、管理者、占有者に対し、建物の規模にかかわらず、 消防用設備等を定期的に点検し、 その結果を報告する義務があると案内しています。 機器点検は原則として6か月ごとに行います。建物の用途や規模によっては、消防設備士や消防……

古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには|第6話

~許可だけでなく、周辺の暮らしへの配慮も開業準備の一つ~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、古民家カフェの開業にあたり、保健所や消防署へ相談したいことを整理しました。飲食店営業許可。厨房設備。消防設備。建物の用途や改修。こうした法令上の確認は、開業に欠かせません。しかし、許可を取得すれば、すべての準備が終わるわけではありません。古民家カフェを始めると、これまで住宅だった場所に、人。車。話し声。排気。ごみ。看板や照明。が加わります。開業する側には小さな変化でも、近隣に住む方には、毎日の生活に関わる問題になることがあります。今回は、👉古民家カフェを長く安心して続けるために、開業前に確認したい近隣対策について考えます。 許可と近隣対策は別の問題です 飲食店営業許可や消防上の確認は、法令上の基準を満たしているかを見るものです。一方、路上駐車。話し声。厨房のにおい。夜間の照明。ごみの保管。などは、周辺の暮らしとの関係から生じます。許可を取得していても、近隣への影響が大きければ、苦情やトラブルにつながります。👉法令上営業できることと、地域で安心して営業を続けられることは別です。この二つを、開業前から一緒に考える必要があります。 1. 車と人の流れ 古民家は、道幅の狭い住宅地。昔からの集落。駅から離れた地域。に建っていることがあります。そのため、お客様は何で来るのか。駐車場は何台必要か。満車時はどこへ案内するか。自転車をどこへ置くか。店の前に人が並ばないか。を確認します。特に避けたいのは、近隣住宅前への路上駐車。私有地への無断駐車。狭い道路での送迎や転回。店の前での長時間の待機。です。駐車場が少ない場合には、予約制。来店時間の分散。公共交通機関の案内。近隣駐車場の紹介。なども検討します。 2.営業時間と作業時間 近隣へ影響するのは、営業時間だけではありません。早朝の仕込み。食材の搬入。閉店後の清掃。椅子や食器の片付け。スタッフの出入り。も、音の原因になります。そこで、仕込みは何時からか。搬入は何時ごろか。片付けは何時までか。屋外で行う作業はあるか。を確認します。👉開店時間と閉店時間だけでなく、店の一日の動きを考えることが大切です。 3.……

宿泊料金はどう決める?安売りを防ぐ価格設定|第12話

~周辺相場だけに合わせず、宿に必要な利益を残すために~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「口コミは良いのに再訪されない宿の見落とし」について考えました。口コミ評価が高く、再訪してくれるお客様が増えても、宿泊料金そのものが適切でなければ、十分な利益は残りません。予約は入っている。客室も埋まっている。それでも、👉「忙しいのに利益が残らない」という宿があります。 今回は、👉宿泊料金は何を基準に決めればよいのかについて、旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えます。 周辺の宿より安ければよいのでしょうか 宿泊料金を決めるとき、周辺施設の料金を調べることは大切です。同じ地域。同じくらいの客室数。食事や設備の違い。口コミ評価。こうした比較は、料金を考える参考になります。しかし、「周辺の宿が1万円だから、うちも1万円」と決めるだけでは十分ではありません。宿ごとに、・家賃や借入金・人件費・光熱費・清掃費・食材費・設備の維持費・OTAなどの販売費用が異なるからです。周辺相場に合わせた結果、予約は入っても利益が残らないことがあります。👉相場は参考にしても、料金の根拠にはしすぎないことが大切です。 一室を販売するための費用を確認する 料金を決める前に、一室を販売すると、いくら費用がかかるのかを確認します。例えば、・客室清掃・シーツやタオルの洗濯・アメニティー・水道光熱費・食事の材料・人件費・決済や販売の手数料などです。さらに、家賃。固定資産税。保険料。システム利用料。設備の修繕や保守費。借入金の返済。といった費用は、客室が空いていても発生します。そのため、「一室を準備する費用」だけでなく、「宿を維持するための費用」も料金に反映する必要があります。 満室でも利益が残らないことがあります 安い料金を設定すれば、予約は入りやすくなるかもしれません。しかし、宿泊者が増えれば、清掃。食事。アメニティー。スタッフの勤務時間。設備の使用。も増えます。その結果、売上は増えても、利益がほとんど増えていないことがあります。注意したいのは、👉満室にすること自体が目的になることです。何室売れたかだけでなく、一室販売した結果、👉……