07日本版DBS(こども性暴力防止法)対応 3rd page

10.日本版DBS制度の認定を受けないという選択肢はあるのか

~日本版DBSと事業者の安全対策を考える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 前回の記事では、「スポーツクラブは認定を受けるべきか」についてお話ししました。スポーツクラブでは、外部コーチ、アルバイトスタッフ、短期スタッフ、遠征や合宿など、学習塾とは異なるリスク管理が必要になる場面があります。 そしてその前の記事では、認定事業者になるメリットとデメリットについても考えました。ここまで読まれた方の中には、こう感じた方もいるかもしれません。「認定を受けるのは大変そうだ」「うちの教室規模では現実的ではないかもしれない」「では、認定を受けないという選択肢はあるのだろうか」 今回は、認定を受けないという選択肢はあるのかについて考えてみたいと思います。結論から言えば、事業規模や運営形態によっては、認定を受けないという判断もあり得ると思います。しかし、ここで大切なことがあります。子どもの安全対策は全事業者に求められる。ということです。 認定を受けないという経営判断はあり得る 日本版DBSの認定制度は、すべての民間事業者に義務付けられているものではありません。・学習塾、・スポーツクラブ、・書道教室、・そろばん教室、・英会話教室、各種習い事教室などでは、認定を受けるかどうかは、事業者自身が判断することになります。例えば、・個人経営の教室・少人数で運営している学習塾・地域密着型の習い事教室こうした事業者にとって、認定取得に伴う事務負担や運用コストは、決して小さくないかもしれません。 そのため、認定を受けないという判断自体は、一つの経営判断としてあり得ると思います。 ただし「何もしない」とは違う ここで注意したいのは、認定を受けないことと、何もしないことは違うという点です。認定を受けなければ、制度上の認定事業者としての義務は発生しないかもしれません。しかし、子どもと関わる事業者として、安全対策を考えなくてよいわけではありません。 採用時の確認。・職員や講師への説明。・外部講師の管理・アルバイトスタッフの管理・保護者への説明・個人情報の管・相談窓口や報告ルールこれらは、認定の有無にかかわらず、子どもと関わる事業者にとって重要なテーマです。……

9.スポーツクラブは日本版DBS制度の認定を受けるべきか?

~日本版DBSを経営判断として考える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 前回の記事では、「8.認定事業者になるメリットとデメリット」についてお話ししました。認定を受けることは、単なる制度対応ではなく、経営判断でもあるというお話でした。 今回は、「スポーツクラブは認定を受けるべきか」について考えてみたいと思います。7話でお話しした学習塾と今回お話しするスポーツクラブ。どちらも子どもと関わる事業ですが、実は日本版DBSとの関係で見ると、👉スポーツクラブの方がより大きな影響を受ける可能性があります。なぜなら、スポーツ指導の現場には、更衣室、遠征、合宿、外部コーチなど、学習塾にはない環境が存在するからです。 スポーツクラブは学習塾と何が違うのか 例えば学習塾の場合、多くは教室内で授業を行い、一定時間が経過すると帰宅します。【学習塾】授業↓帰宅 一方、スポーツクラブでは、【スポーツクラブ】練習↓更衣室↓個別指導↓遠征↓合宿↓大会という流れになることも珍しくありません。つまり、子どもと大人が接する場面が多く、関係性もより密接になりやすいのです。 だからこそ、安全管理やリスクマネジメントの重要性が高くなります。 外部コーチやアルバイトの存在 スポーツクラブには、正社員だけでなく・外部コーチ・アルバイトスタッフ・大学生スタッフ・短期指導員 などさまざまな立場の人が関わります。こども家庭庁の資料でも、派遣労働者、スポットワーカー、ボランティアなども対象として想定されています。 つまり、「うちは正社員だけ管理しているから大丈夫」という話ではありません。誰が、どのような形で、どれだけ子どもと接するのか。これを整理することが、日本版DBS対応の第一歩になります。 認定取得のメリット スポーツクラブが認定を取得するメリットは、👉保護者への安心感を示しやすいことです。また近年、スポーツ指導の現場でも、安全管理への関心は高まっています。技術指導だけではなく、運営体制そのものが評価対象になりつつあります。認定制度が広く認知されれば、「安全対策に取り組んでいるクラブ」というメッセージを伝えやすくなるで……

8.日本版DBS認定事業者になるメリットとデメリット

~日本版DBSは経営判断になる時代へ~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 前回の記事では、「学習塾は日本版DBSにどう向き合うべきか」についてお話ししました。日本版DBSが始まることで、学習塾や書道教室、そろばん教室などの民間教育事業者も、子どもの安全と保護者からの信頼について考える時代がやってきます。今回は、認定事業者になるメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。日本版DBSをめぐる議論の中で、「認定を受けた方がいいのか」「受けないという選択肢はあるのか」という声をよく耳にします。しかし私は、これは単なる制度対応の話ではなく、👉経営判断の絡んでくる話だと思っています。 日本版DBSの認定制度とは 前回も触れましたが、認定事業者制度は、義務対象事業者ではない民間事業者が、一定の基準を満たした場合に認定を受けられる仕組みです。学習塾、スポーツクラブ、習い事教室などは主な対象として想定されています。つまり、法律で義務付けられているわけではありません。認定を受けるかどうかは、👉事業者自身が判断することになります。 認定を受けるメリット 最大のメリットは、👉保護者からの信頼向上でしょう。これまで保護者は、立地や料金、カリキュラムなどを比較して教室を選んでいました。しかし今後は、安全対策という視点が加わる可能性があります。【これまで】料金↓立地↓カリキュラム↓入会 【これから】安全性↓料金・立地↓信頼性↓カリキュラム↓入会もちろん、すべての保護者が認定制度を理解しているわけではありません。しかし制度が浸透していけば、「どのような安全対策を行っているのか」という点が選ばれる理由の一つになる可能性があります。 認定を受けるデメリット 一方で、認定には一定の負担も伴います。・職員管理・個人情報管理・運用ルールの整備・継続的な管理体制これらは一度作れば終わりではありません。👉運用し続ける必要があります。特に小規模事業者にとっては、人的負担や事務負担をどう考えるかが大きな課題になるでしょう。 本当に重要なのは認定取得そのものではない ここで誤解してほし……

7.学習塾などは日本版DBSにどう向き合うべきか

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBS、放課後等デイサービス事業者が今から準備すべきこと」として、義務対象となる放課後等デイサービスの実務対応を整理しました。今回は、「学習塾」です。学習塾は、学校や認可保育所、放課後等デイサービスとは少し立場が違います。日本版DBSへの対応が法律上当然に義務づけられる事業ではありません。一定の要件を満たし、こども家庭庁から認定を受けることで、制度に参加する仕組みです。つまり学習塾にとって日本版DBSは、「義務だから対応する」というだけの話ではありません。認定を受けるのか。受けるなら何を整えるのか。保護者や職員へどう説明するのか。経営判断も含めて考える必要があります。今回は、学習塾が日本版DBSとどう向き合うべきかを、実務目線で整理します。 学習塾は「自動的な義務対象」ではありません まず最初に整理したいのはここです。学習塾は、学校や認可保育所などと同じ意味で、日本版DBSへの対応が自動的に義務となる事業ではありません。一定の要件を満たす民間教育保育等事業者として、こども家庭庁へ申請し、認定を受ける仕組みがあります。認定を受けると、・犯罪事実確認・職員研修・相談体制・未然防止の取組・問題が疑われた場合の対応・情報管理など、法律に基づく取組を行うことになります。つまり、「認定マークだけ欲しい」という制度ではありません。認定を受けた後も、継続して運用できる体制が必要です。 では、学習塾は認定を受けた方がよいのでしょうか ここは一律に答えを出せる話ではありません。塾の規模対象年齢授業形態個別指導か集団指導か教室数講師数保護者との関係によって判断は変わります。ただし、今後の学習塾経営では、「子どもの安全にどのように取り組んでいるか」が、保護者から見られるポイントの一つになる可能性があります。こども家庭庁は、認定事業者について専用の認定事業者マークを用意しています。保護者から見れば、「この事業者は国の制度に基づいて、子どもの性暴力防止に取り組んでいる」と確認できる一つの目安になります。だからこそ、「義務ではないから何もしない」ではなく、自分の塾としてはどう考えるのかを一度整理しておく価値があります。 学習塾には独特のリスクがあります 学習塾に……

6.日本版DBS、放課後等デイサービス事業者が今から準備すべきこと

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「認定こども園は日本版DBSで何が変わるのか」として、認定こども園で必要となる準備を整理しました。今回は、「放課後等デイサービス」です。放課後等デイサービスは、指定障害児通所支援事業として、日本版DBSへの対応が義務となる事業です。そして放デイには、送迎。個別支援。少人数での活動。学校や家庭との連携。など、認定こども園とは少し違う日常があります。だからこそ、日本版DBSへの対応も、「犯罪事実確認だけ行えばよい」ではなく、普段の支援や事業所運営の中へどう組み込むかを考える必要があります。今回は、放課後等デイサービス事業者が今から確認しておきたいポイントに絞って整理します。 放課後等デイサービスは日本版DBSの義務対象です 指定を受けた放課後等デイサービスは、日本版DBSの義務対象です。つまり、「認定を受けるかどうかを選ぶ」事業ではありません。制度施行後は、法律に基づいて必要な安全確保措置や犯罪事実確認を行うことになります。ただし、制度対応は犯罪事実確認だけではありません。放デイ事業者には、・児童対象性暴力等を未然に防ぐ・職員への研修を行う・子どもが相談できる環境を整える・疑いが生じた場合に適切に対応する・対象となる職員について犯罪事実確認を行う・重要な情報を適切に管理するといった仕組み全体が求められます。 まず「誰が対象になるのか」を整理する 放課後等デイサービスには、さまざまな職種がいます。例えば、・管理者・児童発達支援管理責任者・児童指導員・保育士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・送迎担当などです。重要なのは、「正社員かパートか」だけで判断しないことです。現在のガイドラインでは、指定障害児通所支援事業に従事し、障害児への支援や便宜の供与に関する業務を行う人が対象として整理されています。実際にどのような業務をしているのかを確認することが必要です。 送迎担当はどう考える? 放デイでは送迎が日常業務の一つです。送迎車内では、職員と子どもが少人数で過ごすこともあります。そのため、「送迎だけだから対象外」と単純に決めることはできません。誰が。どの程度継続して。どのような形で子どもと接しているのか。実際の業務内容を確認して整理する必要があります。……

5.認定こども園は日本版DBSで何が変わるのか

~園長先生と運営法人が今から準備したいこと~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBSの対象事業者とは?|自分の施設が対象か確認しよう|第4話」として、義務対象事業者と認定対象事業者の違いを整理しました。今回は、対象事業者別にもう一歩具体的に見ていきます。最初に取り上げるのは「認定こども園」です。結論からいうと、認定こども園は日本版DBSへの対応が義務となる事業者です。幼保連携型。幼稚園型。保育所型。地方裁量型。いずれの認定こども園も対象となります。では、2026年12月25日の施行によって、園の運営は具体的に何が変わるのでしょうか。今回は、園長先生や運営法人が押さえておきたいポイントに絞って整理します。 認定こども園は日本版DBSの義務対象です 日本版DBSでは、認定こども園は法律上の「学校設置者等」に含まれ、安全確保措置や犯罪事実確認などを実施する義務があります。つまり、「認定を受けるかどうかを選ぶ」認定対象事業者ではありません。制度への対応が必要です。ただし、日本版DBS対応は、「職員の性犯罪歴を確認する」ことだけではありません。園として、・児童対象性暴力等を未然に防ぐ・職員へ研修を行う・子どもや保護者が相談できる環境をつくる・疑いが生じた場合に調査・対応する・犯罪事実確認を行う・重要な情報を適切に管理するという仕組み全体を整えることになります。 園で大きく変わるのは4つです 1.対象職員を整理し、犯罪事実確認を行う まず必要になるのが、「誰が確認対象なのか」の整理です。認定こども園だからといって、すべての職員を肩書きだけで一律に判断するわけではありません。幼保連携型認定こども園では、園長、保育教諭など法律上対象となる職種が定められています。また、その他の職員についても、実際の業務内容によって対象になる場合があります。そのため、職員一覧を作る。職種を確認する。実際に子どもとどのように接しているかを確認する。という作業が必要です。施行後に新たに対象業務へ就く人は、原則として業務開始前に犯罪事実確認を行います。施行時点ですでに働いている対象職員については、経過期間の中で計画的に確認を進めます。 2.「問題を起こさせない仕組み」をつくる 日本版DBSでは……

日本版DBSの対象事業者とは?|自分の施設が対象か確認しよう|第4話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 第1話では「何から始めるか」第2話では「日本版DBSとは何か」第3話では「いつから始まるのか」について整理してきました。この導入シリーズの最終回となる第4話は、「では、誰が対象なのか」です。日本版DBSでは、子どもと関わるすべての事業者が同じ扱いになるわけではありません。大きく分けると、「法律上、対応が義務となる事業者」と「申請して認定を受ける事業者」があります。さらに、事業者が対象だからといって、そこで働く全職員が一律に犯罪事実確認の対象になるわけでもありません。まずはこの2段階で整理すると分かりやすくなります。 まず「義務対象」と「認定対象」を分ける 日本版DBSの対象事業者は、大きく2つに分かれます。 義務対象事業者 法律上、日本版DBSへの対応が義務となる事業者です。代表的なものとして、・幼稚園・小学校、中学校、高等学校・特別支援学校・認可保育所・認定こども園・児童養護施設・一定の障害児施設、障害児通所支援事業などがあります。公立か私立かにかかわらず、法律で対象となる施設・事業については対応が必要です。 認定対象事業者 一方、・認可外保育施設・放課後児童クラブ・学習塾・スポーツクラブなど一定の民間教育保育等事業者については、こども家庭庁へ申請し、認定を受ける制度があります。認定を受けた場合には、義務対象事業者と同水準の性暴力防止の取組を行います。つまり、「子どもと関わる事業だから全部義務」でも、「民間事業だから対象外」でもありません。まず、自分の事業がどちらに位置づけられるかを確認することが重要です。 放課後等デイサービス・児童発達支援はどうなる? 当事務所へのご相談でも、特に関心が高いのが、放課後等デイサービスや児童発達支援です。ここは少し注意が必要です。指定を受けた障害児通所支援事業である・児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援は、義務対象に含まれます。一方で他、制度上の位置づけによっては認定対象として整理される事業もあります。そのため、「放デイだから」「児発だから」という名称だけで判断せず、実際にどの指定・事業として運営しているのかを確認することが大切です。 学童・学習塾・スポー……

日本版DBSはいつから始まる?|事業者が押さえておきたい施行スケジュール|第3話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBSとは何か|子どもと関わる事業者が知っておきたい新制度|第2話」として、日本版DBSの全体像を整理しました。 今回は、「いつから始まり、いつ何をすればよいのか」です。日本版DBSの施行日は、2026年12月25日です。ただし、「12月25日までに全職員の犯罪事実確認を終わらせる」という制度ではありません。施行前。施行後の新規従事者。すでに働いている職員。この3つに分けると、かなり分かりやすくなります。 日本版DBSは2026年12月25日から始まります こども性暴力防止法は、2026年12月25日に施行されます。現在は、ガイドラインやQ&A、各種ひな型も公表され、事業者が具体的な準備を進める段階に入っています。大切なのは、12月25日を「すべての準備を終える日」と考えないことです。12月25日は、制度を実際に運用し始める日と考えると分かりやすいでしょう。 施行前|まず「運用できる状態」をつくる 施行前に取り組みたいのは、犯罪事実確認そのものより、そのための土台づくりです。例えば、・自分の事業が対象になるか確認する・対象となる従事者を整理する・担当者、責任者を決める・就業規則や服務規律を確認する・相談、報告ルートを整える・犯罪事実確認情報を扱う人や管理方法を決めるといった準備です。最新のガイドラインでも、犯罪事実確認だけでなく、研修、相談体制、問題が疑われた場合の対応、情報管理などが制度の重要な柱として整理されています。つまり、「DBSの申請方法だけ覚えればよい」わけではありません。 施行後|新たに働く人は原則として業務開始前に確認 2026年12月25日以降、新たに対象業務へ従事する人については、原則としてその業務に就かせるまでに犯罪事実確認を行います。そのため、今後は採用と日本版DBS対応を別々に考えることができません。採用する。入職日を決める。対象業務を確認する。犯罪事実確認を行う。という流れを、事業所の採用手続の中に組み込む必要があります。「採用してから考える」のではなく、採用段階から確認する仕組みを整えておくことがポイントです。 今いる職員は2029年12月24日まで では、施行時点ですでに働い……

日本版DBSとは何か~子どもと関わる事業者が知っておきたい新制度~|第2話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBS対応は何から始める?事業者が今準備したいこと|第1話」として、2026年12月25日の施行に向け、事業者が最初に確認したいことを整理しました。 今回は、もう一歩手前に戻ります。そもそも、「日本版DBSって何をする制度なの?」というお話です。ニュースなどでは、「子どもと関わる仕事に就く人の性犯罪歴を確認する制度」と紹介されることがあります。間違いではありません。しかし、それだけでは制度の一部分しか見えていません。日本版DBSの本当のポイントは、「犯罪事実を確認すること」と「子どもへの性暴力を防ぐ仕組みを事業者の中につくること」を組み合わせた制度であることです。第2話では、その全体像だけをできるだけ分かりやすく見ていきます。 日本版DBSとは何か 日本版DBSは、正式には👉「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」に基づく仕組みです。とても長い名称ですね。一般には「こども性暴力防止法」、そして制度の特徴から「日本版DBS」と呼ばれています。目的は明確です。子どもと接する仕事の中で、児童対象性暴力等が起きることを防ぐこと。そして、子どもが安心して教育・保育などを受けられる環境をつくることです。そのために事業者へ、・犯罪事実の確認・性暴力を防ぐための取組・早期に気づくための体制・問題が起きた場合の対応・職員への研修・相談しやすい環境づくりなどを求める仕組みになっています。 「性犯罪歴をチェックする制度」だけではありません ここが最初に知っていただきたいポイントです。日本版DBSという言葉から、「採用するときに犯罪歴を調べる制度」という印象を持つ方も多いと思います。しかし、犯罪事実確認だけで子どもへの性暴力を防ぐことはできません。過去に確認対象となる犯罪事実がない人であっても、将来の行為まで保証されるわけではないからです。そのため制度では、「犯罪事実確認」だけではなく、日常の環境づくりや研修、相談・報告体制などを組み合わせて、性暴力の防止を図ります。つまり、「DBSで確認したから安全」ではありません。事業所全体で子どもを守る仕組みをつくる。その中の一つが犯罪事実確認です。 ……

日本版DBS対応は何から始める?事業者が今準備したいこと|第1話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 いよいよ、こども性暴力防止法、いわゆる「日本版DBS」の施行が近づいてきました。施行日は2026年12月25日です。制度について、「名前は聞いたことがある」「性犯罪歴を確認する制度らしい」という方も急激に増えてきたと思います。一方で、事業者の方から見れば、「うちは対象なのか」「どの職員を確認するのか」「何をいつまでに準備するのか」「就業規則や社内規程まで変える必要があるのか」など、実務になると分かりにくい部分も少なくありません。そして大切なのは、日本版DBSは単に「性犯罪歴を確認する制度」ではないということです。子どもへの性暴力を防ぐために、事前の防止。職員への周知・研修。相談できる体制。問題が疑われたときの対応。重要な情報の適切な管理。まで含めて、事業者としての仕組みを整える制度です。第1話では、細かな制度説明に入る前に、👉「では、事業者は今、何から始めればよいのか」を整理します。 日本版DBSは2026年12月25日に始まります こども性暴力防止法は、2024年6月に成立し、2026年12月25日に施行されます。ここまでの間に、制度の詳細を定める政令・内閣府令、ガイドライン、Q&A、各種ひな型などが順次公表されてきました。そして現在は、施行に向けた具体的な準備段階に入っています。すでに今、もう「制度が始まってから考えればよい」という時期ではありません。特に義務対象となる事業者では、施行前から職員や組織の体制を整理しておく必要があります。 最初に確認したいのは「自分の事業がどう関係するか」 日本版DBSへの対応を考えるとき、いきなり規程を作り始める必要はありません。最初に確認したいのは、👉「自分の事業が、この制度とどのように関係するのか」です。日本版DBSには、法律上対応が求められる事業者と、認定制度を利用することができる民間教育保育等事業者があります。施設名だけを見て判断するのではなく、どの事業を行っているのか。誰が子どもと接するのか。どのような業務をしているのか。を整理することが第一歩です。対象事業者については、第4話で詳しく取り上げます。 施行前に準備したい5つのこと では、対象となる事業者では何を準……